メニュー

起業ストーリー

先輩女性起業家から後に続く方に貴重な体験を教えていただく本コーナー。本日は、薬剤師としての資格や実績を活かして起業し、「自然の力でからだの中から美しく」をコンセプトに、漢方、薬膳カフェ、ワーク、ボディケア、ラーニングなどをトータルで提供する「自然の薬箱」を経営する(株)自然の薬箱の千田信子さんにお話をうかがいました。

《インタビュアー》
ビューティービジネスアドバイザー 岸下淳子 ・中小企業診断士 豊増さくら


株式会社自然の薬箱 代表取締役 千田信子
〒464-0850 名古屋市千種区今池1-2-7健康文化館
http://five-r.co.jp/index.html

家庭環境から自然に医学分野に関心を。
やってみて感じた“違和感”がのちの起業に
senda2.jpg

岸下:千田さんは薬剤師としての資格をお持ちだと聞きました。まず薬剤師を目指されたきっかけと、その後起業に至ったいきさつをお聞かせください。

千田:祖父が医師であったため、自然と医学分野に関心を持ちました。私自身は薬学の道を選び、学生時代には調剤薬局でのアルバイトも経験しました。今でこそ“薬剤服用歴管理指導”といった業務も薬剤師の重要な仕事との位置づけですが、当時の薬局は、医師が書いた処方箋に基づき棚から薬を間違いなく揃えるな業務がメインでした。それに加えて、たくさんの薬が処方されることについても、「患者さんの悩みへのアプローチは西洋医学の薬だけでいいのか?もっと違ったアプローチもあるのでは?」と漠然とした違和感を感じていました。

岸下:なるほど、その「違和感」が、のちに「誰に、何を、どのように提供するのか」という「事業コンセプト」につながっていくのですね。ところで自然の薬箱は1階が漢方相談薬局となっていますが、漢方に関心をもたれたきっかけは?

千田:大学の卒業論文で漢方の薬理作用を研究し、漢方の効能を直接知ることができました。その後漢方のメーカーに就職し女性チームで商品開発や医師への漢方に関する資料作りといった業務に従事しました。しかし、実際に使用されるお客様には直接お会いすることはなく、そこからもまた違和感――「実際に漢方を使われるお客様と接したい」との思いを抱くようになりました。

岸下:日々の業務を通じ、千田様ならではの「事業コンセプト」がより明確になってきたのですね。

千田:はい。からだに現れたシグナルがどうして起こったのかを読み解き、お一人お一人にぴったりのケアを提供していきたい、と。「解決策」は漢方に限らず、運動であったり、食事であったり、学びであったりと、さまざまなアプローチ方法があるはずです。たくさんの情報のなかから、正しいものを導き出し、その方その方にあった方法を各専門家と一緒に選んでいく、そんな場所を作りたいと考えました。

岸下:その「事業コンセプト」を実行に移されたきっかけは?

千田:勤めていた企業で「漢方市場の活性化のための企画」を考える機会があり、そこで長年漠然と抱いていた考えを明文化しました。残念ながら事業化はできなかったのですが、漢方の薬剤師としてお客様に直接接したいという思いが募り、退職して、漢方薬局での修行の道へ進みました。その後縁があり、現在当社が入っているビルを活用してはどうかとのオファーをいただき、それがきっかけで起業に踏み出しました。

岸下:長年温めてきた思いをついに形にすることになったのですね!


くすり-07.jpg

(写真上)「漢方相談薬局」

ご相談者様の症状だけでなく、体質や生活習慣などもヒアリング。その上で症状を起こしている原因を探り、漢方処方を選び、生活上のアドバイスなども行っています。

(写真下)「ラーニングルーム」

漢方、ハーブ、アロマテラピーなど、自分のからだと 向き合いながらできる対処法などをしっかり学べる講座も開催しています。


経験者の活用で未経験分野も船出!
くすり-05.jpg

岸下:漢方に関しての知識、経験、人脈等は21年間の勤務で十分取得されていたものと思いますが、自然の薬箱では「カフェ」といった千田様が未経験の業種も含まれています。未経験分野への進出はどのように行われましたか?

千田:経験者の活用です。現在当社のカフェでは、シェフ+中医薬膳調理師+管理栄養士+パティシエといった体制でメニューの組み立てなどを行っています。飲食店の立ち上げ経験がある管理栄養士さんには、メニュー開発やスタッフの動きなど、オペレーション分野での指導をしてもらいました。

くすり-06.jpg 照明にたまねぎの皮を貼るアイデアは
お店のコンセプトから建築デザイナー
さんが提案してくれました。

岸下:経験者の雇用はいろいろな企業の方が課題とされている分野ですが、どのように人材を確保されましたか?

千田:紹介や自分の人脈、求人サイトの活用などです。また、私自身のブログをみてエントリーされた方もいらっしゃいました。いろいろな方と直接お会いし、人選には時間をかけました。

岸下:雇用後、人材活用面で何か苦労されたことは?

千田:おかげさまで人には恵まれ、みなさん自発的に働いてくれます。オープンから5年ですが、オープニング時からのスタッフも数多くいます。あえて課題を挙げるなら「部署間のさらなる連携」でしょうか。

専門家の活用。うまくいったこと、いかなかったこと。

岸下:これだけ大きな施設を運営されるとなると、資金面も気になるところですが。

千田:起業に当たっては補助金を200万円ほど活用しました。また、借り入れも行いましたが、経営計画の書き方や補助金の申請の仕方などは専門家(コンサルタント)から指導を受けました。資金調達に関してはまったく未経験の分野だったので、情報収集から実際の書類の書き方といった部分でとても助かりました。

岸下:事業化初期においては特にやるべきことが膨大にあるなか、うまく専門家の知識を活用されたのですね。

くすり-08.jpg

千田:はい。資金調達以外にも助産師でありながらボディワークの有資格者の方には、解剖学的根拠に基づいたボディワークの専門家として、体の不調とボディワークの大切さの指導を行っていただいたり、鍼灸師さんには鍼灸部門の立ち上げを担当していただきました。いろいろな専門知識を多面的に活用しています。

岸下:専門家の活用に当たり何か注意されている点は?

千田:これは私自身の反省ですが、私が求めているものが漠然としていて伝えきれなかったために、その専門家が提供できるものが上手く引き出せなかったことがあります。

岸下:お互い「提供できるもの」と「求めるもの」に不一致があるといくら専門知識があってもよいアウトプットは得られませんよね。

千田:肩書きや資格だけではなく、「相手が何ができるのか」「自分は何をしてほしいのか」といった思いのようなものの摺合せも必要だと思います。

PR面、家庭面での乗り越え方

岸下:起業されてからのご苦労は?

千田:資金面ではいざ運営してみると思った以上にお金がかかり追加融資が必要となりました。

まだまだ、社内の企画や運営に余裕なく追われる毎日です。売上も上げていかなくてはいけませんので、どのように告知すればお客様に上手く伝わるのか、日々苦労しています。そんな余裕のなさから、外部セラピストとのコミュニティを作りたいという構想もなかなか時間が捻出できていません。

岸下:その乗り越え方は?

千田:スタッフに随分助けられています。前職で薬事関係の仕事をしていたスタッフがおりその知識も活用しています。また、実践しながら手応えを感じる面も大きいです。例えば、「ヨガ+薬膳」といった企画ではお客様がイメージしやすく、人気の講座となりました。

岸下:他でやっていない“差別化”の観点と“会社の得意分野を活かした商品開発”の観点ですね!

   ご家庭との両立は何か苦労された点はありませんか?

千田:家庭の苦労は特にはなかったです。主人自身も会社を立ち上げたことがあり、私の起業も応援してくれました。生活面では主人の母と同居しているので家事を随分担当してもらっています。


岸下:では最後にこれから起業されたい方へのエールを

千田:やりたいと思ったらぜひやってほしいと思います。

   自分のやりたいことに真っ直ぐに向かって行ったら後悔はしません。

   女性なのだから女性らしさを活かし、時には人に頼ってもいいと思います。

岸下:ありがとうございました!


くすり-09.jpg 《インタビュアー》
ビューティービジネスアドバイザー 岸下淳子
中小企業診断士 豊増さくら

総括:ブライトウーマンスタッフより

事業を行うにあたり「マンパワーの活用」は重要なテーマです。

今回の千田さんのお話からは、マンパワーの活用にも「事業コンセプト」や「理念」が非常に重要であることをあらためて学ぶことができました。これらがしっかりと固まっているからこそ、必要となる人材が集まり、日々の運営の中で自発的な知恵が生まれるのではないでしょうか?

なお、千田さん自身は「人に聞いてみる」ことを大事にされているそうです。

ブライトウーマンでは定期的に交流会付き勉強会を開催しています。女性専門家や女性経営者と直接お話をし、そこから「気づき」を得たい方はぜひ「ブライトウーマン」にご参加ください。

起業ストーリーバックナンバー

バックナンバー一覧