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起業ストーリー

大正12年創業の老舗学生服販売店、ナゴヤ学生服販売株式会社代表取締役大谷万喜様にお話を伺いました。少子化が進む現在、学生服販売店としてこれからどのように歩むのかその奮闘ぶりをお話しいただきました。
インタビュアー:豊増さくら(中小企業診断士・ブライトウーマン・コンサルタント理事)

事業承継をした会社

豊増:早速ですが、承継のきっかけはなんでしたか

大谷:自分が事業を継ぐとは思っていませんでした。お金は不浄な物といった意識があり、お金をいただくのに頭を下げるのが嫌だったんですね。ですから、大学へ進学するのに教育大を志望しました。ところが、やりたいと言ったものに反対したことのなかった母が、それに大反対したんです。それでも商売は嫌だと関東にある美大の建築科に入学しました。

大学生活を謳歌していた折父が亡くなり、卒業後の進路を「好きなことをやらせていただいた親に少しは恩返しを」と思い23年家業を手伝う事にしたのですが、少しだけ手伝うつもりが、商売も面白くなり、じゃあ結婚するまで、子供が生まれるまでと言っている間に今に至っていまいました。

豊増:代表になられたのはいつですか。

大谷:母が倒れたのがきっかけで、完全に引き継ぐことになりました。

乗り越えてきた時代

豊増:引き継がれた時の事業の状況はいかがでしたか。

大谷:祖父の代はかなりうまくいっていたようですが、父の代になって資金繰りが厳しい状況に。当時、母はもう父には任せておけないと、自分が代表になり昼夜を問わず二人の子供を抱え必死に働いたんです。

豊増:大変な状況だったんですね。どうやって現状まで回復したんですか。

大谷:どうやったんでしょうね(笑)。一生懸命に働いたとしか言えないんです。技術だけはあったので、入ったお金で反物を仕入、製品をつくり、宅配業が当時は発達していなかったので自分たちで走り回って納品も行ったんです。うっすらとした記憶ですが、母に連れられて毎晩仕事が終わると車に乗って一緒に納品に行った記憶があります。入学式の当日の朝に制服を届けたこともありました。それを心配して玄関まで出て待っていて下さったお客様が「ありがとうございます」と受け取っていただける時代だったんですよね。だからこそ、何とかなったんですね。

豊増:今なら大変なクレームですよね。

大谷:本当にそうですね。

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豊増:多くの学生服の販売店の中で御社を選んでいただける理由はなんでしょうか。

大谷:縫製していたころは、圧倒的に製品の違いで選んでいただいていました。オーダーでお作りすることもできましたし、長年培った製品のノウハウがありましたから。

しかし、現在は制服メーカーが製造した同じものを販売しなくてはならないんです。ですから、差別化できるものがあるならこちらが聞きたいくらいです。(笑)

敢えて言うならマンパワーですね。ベースに「服育」という想いがあって、それがエネルギーとなって私達が取り扱う制服そのものや、お客様の心に届くのではないでしょうか。

服育への思い

豊増:服育というのは?

大谷:食育と同じで、子供たちの心と体を育むものという考えです。服に対して愛情を持つことや、洋服の手入れを自分で出来るように教育することです。

私自身講師として学校でお話させていただく機会が年に何度かあり、お手入れの仕方そのものも説明しますが、それ以外に二つのことを子供たちに伝えています。

一つは、「制服は毎日着るものだから第二の皮膚なんだよ。毎日お手入れするということは、自分自身を大事にすることなんだよ。自分自身を大事にできる人が友達も大事にすることが出来るんだよ。」ということ。もう一つが「制服を着ている間はチームプレイだ」ということです。制服というのは責任のあるもので、着ている以上はその学校の生徒だよと大声で叫んで歩いているのと同じことなので、その人がした行動は学校の評価となる。だからチームプレイの責任があるんだという事を伝えています。

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豊増:セミナーの対象は学生さんですか

大谷:セミナーは授業の一環として学校で行ったり、PTAに招かれて行う事もあります。時には先生方に対してお話させていただくこともあります。

他にも服育として服装の規律だけではなく、リサイクルにも力を入れています。一着の制服を大切に長く着てもらうこと、修理したものを着ることは恥ずかしいことではない事、お客様が着終わった制服を私たちが現金で買い取ってリサイクルに回すという仕組みができているので、服育は環境教育でもあります。

豊増:リサイクルに回すというのは着る人を探すのではなく、資源としてですか。

大谷:両方です。リサイクルは提携の工場で軍手や車の内装などに。リユースの場合は修理、クリーニングをしてよく汚したり、成長したりするお子様たちの為に安く再販しています。

豊増:服育はどのようにスタートしたのですか。

大谷:祖父の時代に「制服というのは商売ではなく教育の一環だ」という社訓があって、もともと服育という考えが根底にあったんですね。そのような中、ある商社が服育という考えを体系的にまとめたということを知り、愛知で服育研究会の立ち上げメンバーの一員としてかかわり、現在理事長として活動しています。

企業としての責任とこれから

豊増:企業として、社会的責任を果たしているということですね。

大谷:そうですね、当社はベースに「教育」があるということ。「売上あげろ」ではない。きちんとした制服を着せること、ひとりひとりにきちんと伝えていくということで、その想いが伝われば売り上げは自然に上がっていくと思うんです。現に弊社は売り上げを伸ばしていますし。

豊増:将来の夢はありますか?

大谷:何ができるかわからないけど、小学生の制服を作りたいですね。

小学生が制服を着ていれば、学校の行き帰りなのかどうかが地域の方が分かって子供たちの見守りができ、安全に貢献できるし、子ども自身もオンとオフがきちんとすると、学力の向上にも繋がると思うんです。それに同じものを着るという事で連帯感も生まれる。それも服育の一つだと思うんです。

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豊増:事業を引き継がれてから苦労したことはありますか。

大谷:特には無いのですが、社内の意識づけが大変でしたね。「社長の娘」として見ていたものが突然「社長」になったので、誰も社長として見てくれなかった。母は何も教えてくれなかったし、時代も違っていましたから。

豊増:指揮命令に対しての抵抗感があったという事ですか。

大谷:どうでしょうか。自分自身も違和感があったのかもしれません。社長になった時に、「呼称が人を作るから、社長と呼んでください」と皆にお願いしましたから。(笑)

私が実行部隊だったけれど、私の中ではずっと母がやっているものだと思っていた。それが急に自分が立つことになり、自信もなかったんですよね。もちろん今は会社の代表として動かしている自負はありますが。加えて、制服業界自体が過渡期を迎えており、事業そのものの展開の難しさと社内の人間関係の改革が一番大変でしたね。もっとも、これはどんな会社でも永遠に続くテーマだと思います。(笑)

働く女性へのエール

豊増:これから起業を目指す女性、仕事を頑張っている女性にメッセージをお願いします。

大谷:女性が会社をやるのはやはり大変。周りの同業者の中での男女の差ははっきりとあるんですね。圧倒的に違う。初めはそれが劣等感だったけれど、物事の割り切り方や決断の大胆さはむしろ女性の方が優れていると思います。何かをやると男性社長の多くは「突拍子もないこと」といわれる。でも、私の発想はどう進めば楽しいかということ。この男性と女性の差があるという事を自覚しておくことで、先々躓かずに済むのではないかと思います。

仕事をして自力で自分の食い扶持を得るというのは、地に足がついているという事。しっかりと自立することを目指して欲しいです。

豊増:ありがとうございました

起業ストーリー_大谷_05.png ゆったりとくつろげる女性専用の店内(東店)2月~4月はご予約優先です。
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東店クリシェ (営業時間 10:00~18:00 土曜定休)

所在地 名古屋市東区主税町4丁目32  TEL: 052-936-4405  FAX: 052-934-4316


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所在地 名古屋市昭和区滝川町47-48  TEL:052-832-1616  FAX:052-834-6459


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所在地 名古屋市天白区植田南3丁目121  TEL:052-838-9622 FAX:052-838-9623

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